午前中はホテルで読書
前日夜に天気予報をみたときから嫌な予感がしていたが、予報通り、ハワイ島旅行2日目(11月11日)はハワイの広い地域で雷を伴う大雨となった。場所によっては洪水注意報も出ている。
飛行機やホテルを予約したのは、出発の3日前だった。天気が崩れそうならばそもそも旅行は計画しない。しかし出発3日前の天気予報では、週末に悪天候になるとは言っていなかったのだからしかたがない。
小雨程度なら迷うことなく出かけるのだが、さすがにこの大雨では、大きくて重たいカメラ機材を担いで出かける気にならない。外出は諦め、ホテルの部屋で読書をすることにした。旅先のホテルでコーヒーを飲みながらゆっくり読書。これはこれで楽しい。
ワイピオ渓谷展望台へ
ホテルで昼食をとったあと、午後になっても雨は止まない。のんびりするのは悪くないが、終日ホテルに閉じこもるのはさすがに時間がもったいない気がしてくる。ネットで雨量予想図を見て、少しでも雨が降らなさそうな場所を見当し、ワイピオ渓谷展望台(Waipiʻo Valley Lookout)に行ってみることにした。
ハワイ島北部にあるワイピオ渓谷展望台までは、ヒロから車で約1時間15分。予想通り、北上するにつれて雲が明るくなり、雨も止んできた。
午後3時過ぎに展望台に到着。10数人の観光客がいた。展望台には5枚のパネルが設置され、ワイピオ渓谷の自然と歴史を、古い写真とともに説明している。
ワイピオ(Waipiʻo)は、向かい合って切り立つ崖の間に広がる渓谷で、ハワイでは開発されていない数少ない渓谷のひとつである。古代よりハワイ人による歴史と文化が濃厚に沈殿している土地であり、ハワイアンの聖地として手厚く保護されている。
古くからタロイモ(カロ)の生産地として知られていたワイピオだが、1946年に津波に襲われ、村や畑の多くが壊滅してしまった。人々の多くはワイピオから移住せざるをえなくなったが、一部の人々は土地に残り、現在に至る。
ワイピオには「曲がった水」という意味があり、オアフ島とマウイ島にも同じ地名がある。渓谷の奥のほうの土は赤いそうだが、伝説によると、カナロア神(Kanaloa)が、半神マーウイ(Māui)を岩に叩きつけたときに出たマーウイの血で大地が赤く染まったためであるという。
展望台からワイピオ渓谷を眺めた。向かいの崖には厚い雲が低くかかり、神々しい雰囲気。黒い砂浜には波が轟々と押し寄せ、遠くの崖から浜に落ちる滝が見える。民家らしき平屋が点在するが、人影はない。
渓谷上空をイオ(ハワイノスリ)やプエオ(コミミズク)が飛んでいる姿を見られるかもしれないと期待したが、残念ながら見ることはできなかった。手前の茂みでは、メジロがしきりに鳴いていた。
ヒロに戻ると、まだ雨が降り続いている。夕食の頃には、雷をともなう滝のような激しい雨になった。最終日の明日は探鳥できるかどうか、心配になった。
写真はすべて筆者による撮影